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タイトル 国際政治学から考える「異分野融合研究」について:大賀哲(おおがとおる)准教授

国際政治学から考える「異分野融合研究」について
 

 大賀哲准教授(おおが・とおる、大学院法学研究院政治学部門政治動態分析講座)は2008年2月から本学に着任し、政治学・国際政治学について研究・教育を行なっています。法学研究院における政治学部門は、政治哲学や思想史を中心とする政治学基礎講座と政治史や国際関係など政治過程や現在進行形の政治課題を考察する政治動態分析講座に分かれ、大賀先生は国際政治学の領域で、ASEANや東アジア共同体などのアジア地域主義を事例とし、国際社会と地域統合の重層的・複合的な関係を研究しています(図1)。
   研究手法としては国際政治上の規範や言説、言葉の意味を政治的なコンテクストで考察するという質的研究を行っています。しかし、膨大な情報や数多くの変数を分析する近年の国際政治学では、こうした質的研究の手法には方法論上の限界もあります。大賀先生は従来の質的研究に、統計的データやその他の量的研手法を合わせた統合型の研究手法を取り入れています。


 統合型研究の例としてはテキスト・マイニング(自然言語処理)があります。テキストマイニングを用いて、たとえば各国政府のスピーチや政府文書の中で特定の言葉が他のどのような言葉と関連して、どのくらいの頻度で使われるのかなどを考察することが可能となります。大賀先生は、このテキスト・マイニングと従来の質的研究を統合的に用いることで、分析過程を可視化し、分析の精度を高めることができると考えています。また、こうした統合型の方法論の確立に関しては理工学系の研究者との連携の可能性も模索されているようです(参考図3.&4.)。

 大賀先生は、人文・社会科学の中でもとくに国際政治学は異分野融合の要素が強いといいます。国際関係の課題解決のためには政治学だけではなく、法学、経済学、社会学など学際的な視点でのアプローチが必要とされるからです。とくに1990年代以降、多国籍企業、NGO、自治体や他の国内組織など国家以外のアクターが台頭し、経済問題、社会問題や環境問題などを含め従来の国際政治学のアプローチだけでは解決の困難な課題が登場してきました。さまざまな国や地域、民族とアクターで構成される国際社会の研究には、いまもっとも異分野融合研究が求められているのかもしれません。
 
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  図1. 著書             図2. 国際会議での様子
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  図3. 共起ネットワーク            図4. 多次元尺度構成法


→ 研究者情報
日付 2015-04-13 17:00